地産地消とは?メリット・デメリットと自治体の取り組み事例や役割

フリーランスライター&Web編集者。北海道在住。絶賛子育て中で、まもなく2児のパパになります。料理は完全に妻任せですが、三度の飯より食べるのが大好きです!仕事の時間が自由な強みを活かし、スーパーへの買い出しと食材選びには毎回同行して食のプロデューサー気取りで楽しんでいます。作る側だけでなく、食べる側・買う側の視点も交えながら、おいしいものに関する情報を発信中です。
「地産地消」という言葉は、ニュースやスーパーの売場でよく目にしますよね。とはいえ、具体的にどんな意味なのか、自分の暮らしにどう関係するのかは、わかりにくいものです。
地産地消は、難しい制度の話ではなく、いつもの買い物のなかで始められる身近な行動です。
この記事では、『食生活♥♥ロピア』が、地産地消の定義や消費者・生産者それぞれのメリット・デメリット、社会的に注目される理由を解説します。あわせて、全国の取り組み事例や普段の買い物での実践方法も紹介します。
地産地消について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
地産地消とは?

地産地消は、言葉の意味も国の推進体制も知っておくと理解が深まります。ここでは、地産地消の基本的な考え方と、法律との関わり、6次産業化とのつながりを解説します。
地域生産・地域消費を略した言葉である
地産地消とは、「地域生産・地域消費」を短くした言葉です。農林水産省は、「地域で生産されたものをその地域で消費すること」を基本とした活動と説明しています。
つまり、地元で生産された農産物や畜産物、水産物を、その地域に暮らす人が食べる活動を指します。特別な仕組みではなく、住んでいる土地で作られたものを選ぶという、シンプルな行動が土台にあるということです。
参考:農林水産省「地産地消パンフレット」
農林水産省が法律に基づき推進している
地産地消は、法律に位置づけられた国の施策として推進されています。平成22年(2010年)に公布された「六次産業化・地産地消法」が、その根拠となる法律です。
この法律は、6次産業化(農林漁業者が加工や販売まで手がける取り組み)と地産地消を、まとめて推進することを目的としています。基本理念として、生産者と消費者の結びつきを強めることや、地域の活性化を掲げているのが特徴です。
- 生産者と消費者の結びつきを強化する
- 地域の農林水産物の利用を促進する
- 地域の活性化につなげる
地産地消は以前から各地で行われてきました。法律で位置づけられたことにより、国の施策として体系的に進められる形になったのです。
6次産業化と一体で進められている
地産地消と切り離せない関係にあるのが、6次産業化です。6次産業化とは、農林漁業者が生産だけでなく、加工や販売まで手がける取り組みを指します。
野菜を育てる生産者が、それを使った加工品を作り、直売所などで売る流れがその一例です。生産・加工・販売が一体となることで、地域のなかで食材を回す仕組みが生まれます。
地産地消のメリット

地産地消の利点は、立場によって内容が変わります。ここでは、消費者・生産者・地域や環境という3つの視点に分けて、それぞれのメリットを解説します。
視点ごとに見ると、地産地消が誰にどう役立つのかがわかりやすくなるでしょう。
消費者|新鮮な旬の食材を手に入れやすい
消費者にとっての大きな利点は、新鮮な食材が手に入りやすいことです。地元産の食材は輸送にかかる時間が短いため、収穫から食卓までの期間が短くなります。
その結果、鮮度が保たれやすくなります。産地が近いことで生産者への安心感を持てたり、地域の食文化を身近に感じられたりする点も魅力です。
- 新鮮な食材が手に入りやすい
- 生産者が近く安心感を持てる
- 地域の食文化を理解できる
なお、旬の時期に栄養価が高くなる食材もあります。たとえばトマトのカロテン(体内でビタミンAに変わる色素成分)は、100g当たりで旬の7月が528μg、旬以外の11月は241μgという報告があります。
参考:岡谷市「「おかやですすめる食育」情報(2021.8)」
生産者|流通経費が減り手取りが増える
生産者にとっては、流通にかかる経費を抑えられる点がメリットです。地元で販売すれば、長距離輸送をしたり、複数の流通業者を介したりする必要が減り、その分の経費を節減できます。経費が減ることで、生産者の手取りが増えやすくなります。
さらに、消費者の声を直接聞ける機会が増えるため、作付けや品種の改善につなげやすい点も特徴です。
- 流通経費を節減できる
- 手取りが増えやすい
- 消費者のニーズを直接把握できる
消費者との距離が近い販売は、次に何を作るかを考えるうえでの手がかりにもなります。
地域・環境|輸送によるCO2排出を抑えられる
地域や環境の面では、輸送によるCO2(二酸化炭素)排出を抑えられる点が挙げられます。地元産の食材は生産地から消費地までの距離が短いため、輸送に伴うエネルギー消費が少なくて済みます。輸送距離が縮まることは、環境への負荷を軽くすることにつながるのです。
地域のなかで食材が流通する仕組みは、地元経済を活気づける役割も果たします。地元で生産し、地元で消費する流れは、環境負荷の軽減と地域経済の活性化の両方につながります。
地産地消のデメリット

地産地消には利点だけでなく、乗り越えるべき課題もあります。ここでは、生産者側の負担や品目の偏り、価格面といった課題を整理します。課題を知っておくと、無理のない付き合い方を選びやすくなるでしょう。
生産者に販売・宣伝の負担がかかる
生産者が地元で直接販売する場合、これまで流通業者が担っていた役割を自ら引き受けることになります。値付けや陳列、接客、商品のPRなどがその代表です。
直売所や市場で売るには、商品を魅力的に見せる工夫や、来店客への対応が求められます。生産に加えて販売の作業が増えるため、時間や労力の負担が大きくなりやすいのが実情です。
- 商品の値付けを自分で行う
- 陳列や売り場づくりを担う
- 来店客への接客に対応する
品目や供給量が地域によって偏る
地域ごとに生産できる品目や量には差があります。気候や土壌、農地の広さによって、作れるものが限られるためです。
すべての食材を地元産でまかなうのは、現実には難しい面があります。学校給食の分野でも、地場産物を安定的に納入することや、必要な量を確保することが課題として挙げられています。
季節によって供給量が変動する点も、地産地消ならではの特徴です。手に入る食材が地域や時期で変わることを前提に、できる範囲で取り入れる姿勢が続けやすくなります。
大量生産品より価格が高くなる場合がある
地元産の食材は、大量生産された品と比べて価格が高くなる場合があります。少量生産では、大規模な生産のようなコスト削減が難しいためです。
学校給食の現場でも、地場産物は価格が高いことや、一定の規格を満たした食材を不足なくそろえるのが難しいことが課題とされています。
価格や供給の課題があることを踏まえたうえで、無理なく続けられる範囲で地元産を選ぶという付き合い方が現実的です。すべてを置き換える必要はありません。
地産地消が注目される社会的な理由とは

地産地消は、個人の食卓を超えた社会的なテーマとも結びついています。ここでは、食料自給率・SDGs・フードマイレージという3つの観点から、注目される背景を解説します。
食料自給率の低い日本で果たす役割が大きい
日本は食料自給率(国内で食べられる食料を国内の生産でまかなえている割合)が低く、地産地消が果たす役割は小さくありません。農林水産省によると、令和6年度(2024年度)の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで64%となっています。
日本は、食料の多くを海外から輸入しています。国際情勢や天候によって供給が不安定になるリスクを抱えているのが現状です。
地域で生産されたものを地域で食べる流れは、国内の食料供給を支える一助となっています。
参考:農林水産省「令和6年度食料自給率を公表します」
SDGsの複数の目標に貢献する
地産地消は、SDGs(国連が定めた持続可能な開発目標)の考え方とも方向性が重なります。輸送距離の縮減によるCO2排出の抑制は、SDGsの観点からも有効です。
- 輸送距離の縮減でCO2排出を抑える
- 地域の食料生産を維持する
- 気候変動対策の方向性と重なる
食料の持続可能性や気候変動対策といったテーマと、地産地消の取り組みは重なる部分が多くあります。地域の食を守ることは、環境と社会の両面を支える行動につながります。
フードマイレージの仕組みと日本の現状を知る
フードマイレージは、食料の輸送が環境に与える負荷を数値でとらえる考え方です。食料の輸送量に輸送距離をかけ合わせて計算します。
この考え方は、1994年にイギリスのティム・ラング氏によって提唱されました。輸送距離が長いほど数値が大きくなり、環境への負荷が高いと見なされます。
日本は食料の輸入量が多いため、フードマイレージも大きいと言われています。地元産の食材を選ぶことは、この数値を減らす身近な工夫の1つです。
【自治体・地域別】地産地消の取り組み事例

全国の自治体や地域では、さまざまな形で地産地消の取り組みが進められています。ここでは、直売所や道の駅、学校給食、観光施設という3つの場面での事例を解説します。
直売所・道の駅で地元の農産物を販売する
直売所や道の駅は、地産地消を代表する販売の場です。消費者が生産者の顔を思い浮かべながら買い物できる場として、全国的に増えています。
農林水産省も、直売所を地産地消の代表的な取り組みとして事例集で紹介しているほどです。農産物直売所や農産加工などをあわせた「農業生産関連事業」の年間総販売金額は、令和6年度(2024年度)で2兆2,244億円にのぼります。
- 生産者が直接農産物を持ち込む
- 朝採れの新鮮な野菜が並ぶ
- 消費者が生産者を身近に感じられる
地元でしか出会えない品種や、旬の野菜がそろうのも直売所ならではの魅力です。
参考:農林水産省「6次産業化総合調査」
学校給食に地場産品を取り入れる
学校給食は、地産地消と食育をつなぐ場になっています。地元で採れた食材を給食に使うことで、子どもが地域の食文化を知るきっかけが生まれているのです。
農林水産省の資料によると、学校給食における地場産物の使用割合(金額ベース)は、令和元年度(2019年度)時点で52.7%でした。この割合は近年、上昇傾向にあります。
地場産物は、食に関する指導の「生きた教材」として活用されています。子どもが地元の食材に触れることは、食への関心や地域への理解を育てる貴重な機会です。給食を通じて地域の農業を身近に感じられる点も、大きな意義といえるでしょう。
観光施設や飲食店で地元食材を提供する
観光施設や飲食店も、地産地消の広がりを支える場です。地元食材を使ったメニューを提供することで、訪れた人にも地産地消を体験してもらえます。
旅先でその土地ならではの食材を味わうことは、地域の魅力を伝える機会になります。家族旅行の楽しみの1つとして、地元食材のメニューを選んでみるのもおすすめです。
地産地消を支える「食育」の役割とは

地産地消の定着には、食の大切さを学ぶ食育が深く関わっています。ここでは、学校給食を通じた食育と、家庭でできる食育という2つの側面を解説します。
学校給食を通じて子どもが地元の食を学ぶ
学校給食は、子どもが地元の食を学ぶ大切な機会です。食育基本法は、食に関する知識と食を選ぶ力を育てることを掲げる法律で、平成17年(2005年)に公布されました。学校給食などで地域の農林水産物の利用を進めることも、この法律に定められています。
学校では給食だけでなく、農業体験や地元の生産者を招いた授業なども行われています。地場産物は、食に関する指導の「生きた教材」として活用されているのです。
- 地元の食材を使った給食を提供する
- 生産者を招いた授業を行う
- 農業体験で収穫を経験する
生産者との交流を通じて、子どもが食への感謝の気持ちを育める点も食育の意義です。
家庭での食育にも地元食材が役立つ
家庭でも、地元食材を使うことが食育につながります。子どもと一緒に地元産の食材で料理をすることは、食への関心を育てる身近な取り組みです。
スーパーで産地表示を一緒に見たり、旬の野菜の名前を教えたりするだけでも、立派な食育になります。特別な準備がなくても、日々の買い物や調理のなかで実践できるでしょう。
- 一緒に産地表示を確認する
- 旬の野菜の名前を教える
- 地元産の食材で一緒に料理する
日常のなかで少しずつ食への関心を育てることが、地産地消への理解にもつながっていきます。
普段の買い物で地産地消を始める3つの行動

地産地消は、特別な準備がなくても日常の買い物で実践できます。ここでは、産地表示の確認・旬の食材の活用・直売所への来店という3つの行動を解説します。どれも今日から取り入れられる手軽な行動です。
産地表示を見て地元産の食材を選ぶ
いちばん手軽に始められるのが、産地表示を確認することです。生鮮食品には産地表示が義務づけられているため、野菜や果物のラベルを見るだけで地元産かどうかがわかります。
平成29年(2017年)9月の制度改正では、国内で作られたすべての加工食品に原料原産地表示(主な原材料の産地を示す表示)が義務づけられました。加工品を選ぶ際にも、原料の産地を確認できるようになっています。
- 野菜や果物のラベルで産地を見る
- 加工食品は原料原産地表示を確認する
- 近い産地のものを選んでみる
買い物のたびにラベルをちらっと見る習慣が、地産地消の第一歩になります。
旬の食材を意識して献立に取り入れる
旬の食材を意識することも、地産地消につながる行動です。旬の時期は流通量が増えるため手に入りやすく、価格も比較的落ち着く傾向があります。
季節ごとの旬の食材を知っておくと、献立に取り入れやすくなるはずです。
- 春夏はキャベツ・新じゃが・筍・えだまめ・トマトなどが旬
- 旬の時期は流通量が増えて手に入りやすい
- 価格も落ち着く傾向がある
旬を意識した献立は、家計にもやさしい食材選びにつながります。
直売所やマルシェに足を運んでみる
直売所やマルシェに足を運ぶことも、地産地消を体験する方法です。直売所は地産地消を推進する代表的な場として、農林水産省の事例集でも取り上げられています。
直売所では、生産者が直接持ち込んだ朝採れの野菜が並ぶことも多くあります。普段のスーパーでは見かけない地元の品種に出会えるのも魅力です。
- 朝のうちに訪れて新鮮な野菜を選ぶ
- 珍しい地元の品種を探してみる
- 家族でのお出かけの途中に立ち寄る
お出かけの途中に立ち寄るだけでも、地元の食材と出会う機会が広がります。
地産地消に関するよくある質問

ここでは、似た言葉との違いや法律、認証制度など、本編で触れきれなかった周辺の疑問に答えます。
地産地消と身土不二はどう違う?
地産地消と身土不二(しんどふじ)は、方向性が重なるものの、成り立ちと目的が異なります。地産地消は、地域経済や環境の観点から農林水産省が推進する取り組みです。
一方の身土不二は、もともと仏教や食養の考え方で、「人の体と土地は切り離せない」という思想を表します。明治時代に食養運動のなかで広まった言葉と言われています。地産地消が政策用語であるのに対し、身土不二は思想や哲学に近い概念です。
都市部でも地産地消はできる?
都市部でも地産地消は実践できます。直売所やマルシェ、スーパーの地場産コーナーなどを通じて、地元の食材を選ぶことが可能です。
都市部でも近郊の農地で野菜が作られているケースがあり、都市農業も広がっています。農林水産省によると、都市住民の約5割が、都市農業の「新鮮な農産物の供給」という役割を評価しています。
さらに、地場産の農産物を購入したいと考える人は約6割です。都市部の暮らしのなかでも、地産地消に取り組む選択肢は広がっているといえるでしょう。
地産地消は法律で定められている?
地産地消は、法律上の位置づけがあります。平成22年に公布された「六次産業化・地産地消法」によって、国の施策として推進される根拠が定められました。
この法律の正式名称は、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」です。長い名称ですが、6次産業化と地産地消をまとめて推進する法律として位置づけられています。
地産地消のマークや認証制度はある?
産地と結びついた特産品を国が登録・保護する仕組みとして、地理的表示(GI)保護制度が運用されています。GIマークが付いた食品は、産地や製法が基準を満たしていることの証明になります。
一方で、地産地消そのものを認証する全国統一のマークはありません。ただし、各自治体が独自のロゴやシールを設けている場合があります。地元産を示す表示は、自治体ごとに工夫されているのが現状です。
家庭菜園も地産地消に含まれる?
自宅で育てた野菜を自宅で食べることも、広い意味では地産地消の考え方に通じると言われています。家庭菜園や市民農園(小さな区画を借りて野菜などを育てられる農園)は、子どもの体験学習の場としても活用されています。
ただし、地産地消が主に指すのは、地域の農林漁業者が生産したものを地域で消費する取り組みです。そのため、厳密には家庭菜園とは区別されます。自分で育てて食べる楽しみは、地産地消の考え方を身近に感じるきっかけになるでしょう。
まとめ
地産地消は、地域で生産されたものを地域で消費する取り組みで、法律にも位置づけられた国の施策です。消費者・生産者・地域や環境それぞれにメリットがある一方、生産者の負担や価格面といった課題もあります。大切なのは、できる範囲で無理なく地元産を取り入れることです。
- 地産地消は「地域生産・地域消費」を略した言葉
- 令和6年度の食料自給率はカロリーベースで38%
- 学校給食の地場産物使用割合(金額ベース)は令和元年度時点で52.7%
普段の買い物では、産地表示を見る・旬の食材を選ぶ・直売所に足を運ぶといった行動から始められます。
ロピアでも、地元で採れた新鮮な野菜や果物をお求めやすい価格でご用意しています。家族の食卓に地元の味を取り入れたい方は、ぜひロピアの売場で産地表示を確認してみてください。
※本記事は情報提供を目的としており、掲載内容の正確性・完全性・最新性について保証するものではありません。ご利用にあたっては、ご自身の判断と責任にてお願いいたします。
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