鉄分の効果とは?女性・男性・子どもに必要な理由と不足時の対処法を紹介

フリーランスライター&Web編集者。北海道在住。絶賛子育て中で、まもなく2児のパパになります。料理は完全に妻任せですが、三度の飯より食べるのが大好きです!仕事の時間が自由な強みを活かし、スーパーへの買い出しと食材選びには毎回同行して食のプロデューサー気取りで楽しんでいます。作る側だけでなく、食べる側・買う側の視点も交えながら、おいしいものに関する情報を発信中です。
「鉄分は体に大事」と聞くけれど、具体的にどんな効果があって、家族みんなに関係するのかは、意外とわかりにくいですよね。
じつは鉄分は、全身に酸素を届け、エネルギーの産生を支えるミネラルです。女性・男性・子どもそれぞれに、鉄分を意識したい理由があります。
この記事では、『食生活♥♥ロピア』が鉄分の働きから性別・年代ごとの大切さ、鉄分を多く含む食べ物、吸収を高める食べ方、不足が気になるときの対処法まで解説します。
毎日の食事で鉄分を上手に取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
鉄分の効果とは?体の中での2つの働き

鉄分の主な効果は、全身へ酸素を届けることと、エネルギーの産生を助けることの2つです。ここでは、それぞれの働きが体の中でどのように役立っているのかを解説します。
- 全身に酸素を届ける
- エネルギーの産生を助ける
全身に酸素を届ける
体のすみずみに酸素を運ぶことは、鉄分の代表的な働きです。成人の体内には約3〜4gの鉄が存在し、そのうち約70%は赤血球のヘモグロビン(血液の中で酸素を運ぶたんぱく質)や筋肉中のミオグロビン(筋肉に酸素を蓄えるたんぱく質)の構成要素として使われています。
ヘモグロビンは酸素と結びつき、血液の流れにのって全身の細胞へ酸素を届けます。筋肉の中では、ミオグロビンが運ばれてきた酸素を受け取り、必要なときに使えるよう蓄えています。残りの約30%は肝臓や骨髄などに貯蔵鉄として蓄えられています。
体内の鉄が不足して貧血になると、筋肉への酸素供給量が減り、筋力低下や疲労感といった症状が起こりやすいもの。「なんとなくだるい」「疲れが抜けない」と感じるときは、鉄分の不足も一因と考えられます。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
エネルギーの産生を助ける
鉄分は、体を動かすエネルギーをつくり出す過程でも欠かせません。細胞の中でエネルギーを生み出すときには、さまざまな酵素反応が関わっており、鉄はその酵素反応を支える成分として働いています。
鉄は、酸素の運搬とエネルギー産生の両方に関わっています。こうした働きから、鉄は日々の活動を支える栄養素のひとつです。
一方で鉄が不足すると、酸素の運搬もエネルギーづくりも滞りやすくなり、だるさを感じたり、集中力が低下したりすることがあります。
女性が鉄分を意識したい理由は?

女性は月経・妊娠・授乳といったライフイベントで鉄分の需要が高まるため、意識的に鉄分を摂ることが大切です。ここでは、女性に鉄分が欠かせない3つの理由を解説します。
月経による鉄分ロスが大きい
女性が鉄分を意識したい大きな理由は、月経で毎月一定量の鉄が失われることにあります。血液には鉄を含むヘモグロビンが多く含まれており、月経のたびに血液とともに鉄が体外へ出ていくためです。
そのため、月経のある18歳以上の女性の鉄の推奨量は10.0〜10.5mg/日と、男性より多めに設定されています。鉄不足は、とくに月経のある女性に多くみられます。
自覚のないまま少しずつ鉄が減っていくこともあるため、忙しい毎日でも、鉄を含む食材を食事に少し加えることを意識することが大切です。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
妊娠中・授乳中はより多くの鉄分が必要となる
妊娠や授乳の時期は、通常よりも多くの鉄が必要になります。赤ちゃんの成長や血液量の増加に鉄が使われるため、妊娠初期の推奨量には+2.5mg/日の付加量が設定されています。
授乳期についても、母乳をつくる過程などで鉄が必要になり、推奨量の付加量は2.5mg/日です。妊娠中期・後期は、初期よりもさらに鉄の需要が増えると言われています。
妊娠中・授乳中の鉄摂取については、サプリメントを自己判断で使うのではなく、かかりつけの医師や管理栄養士に相談してください。体の状態に合わせた摂り方を確認できます。
肌のハリやツヤにも関わるとされている
鉄分は、肌のハリやツヤにも関わるとされている栄養素です。
ただし、鉄を摂れば肌の悩みが解決すると断言できるものではありません。肌の状態は睡眠や食事全体のバランス、生活習慣など多くの要素が関係します。
鉄分だけに頼るのではなく、栄養バランスのとれた食事の一部として取り入れるのがおすすめです。
男性にも鉄分は必要?

男性は月経がないため鉄不足のリスクは低いと思われがちですが、鉄分は酸素運搬やエネルギー産生に欠かせない栄養素です。ここでは、男性にとっての鉄分の役割と、意識したい人の特徴を解説します。
酸素運搬やエネルギー産生を支える
男性にとっても、鉄分は全身への酸素運搬とエネルギー産生を支える欠かせない成分です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における男性の鉄の推奨量は、年齢階級別で6.5〜7.5mg/日と設定されています。
一方、令和5年国民健康・栄養調査における20歳以上の日本人男性の鉄摂取量の平均値は8.0mg/日でした。平均的な食事をしていれば、男性は推奨量を満たしやすい傾向があります。
ただし、一人暮らしや外食中心で食事が偏りがちな場合は、鉄が不足する可能性もあります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
運動量が多い人は意識して摂る
日常的に運動量が多い人は、鉄分を意識して摂ることが大切です。運動をよくする人は、発汗や物理的な衝撃によって鉄の消耗が増えると言われているためです。
汗をかく機会が多い時期は、とくに食事から鉄を補う意識が大切です。
食事だけでは足りないと感じても、まずは鉄を含む食材を毎日の献立に取り入れることから始めてください。赤身の肉や魚など、身近な食材で無理なく補えます。
子どもの成長に鉄分が関わる理由

成長期の子どもは細胞分裂が活発で、鉄分の消耗が大きい時期です。ここでは、子どもの成長に鉄分が関わる理由と、離乳期からの取り入れ方を解説します。
子どもの発達にも鉄分が関わる
鉄分は、子どもの脳や体の発達にも関わる栄養素です。鉄は全身へ酸素を届ける役割を担っており、急激に成長する乳児や幼児では鉄不足が多くみられるとされています。
小児では、鉄欠乏によって精神運動機能の発達が障害されることがあると報告されています。脳が活発に育つ時期だからこそ、鉄を含む食品を意識して取り入れることが大切です。
ふだんから食事量が安定しない子どもの場合は、少量でも鉄を含む食材を組み合わせる工夫が役立ちます。成長を支える栄養素として、鉄分も意識してください。
偏食や小食の子は不足しやすい
食べる量が少なかったり好き嫌いが多かったりする子どもは、鉄が不足しやすい傾向があります。食べられる食品が限られると、鉄を含む食材の摂取も減りやすくなるためです。
鉄の推奨量は、年齢や性別によって異なります。子どもの年齢別の推奨量は、次の表のとおりです。
年齢区分 | 男児の推奨量 | 女児の推奨量 (月経なし) |
1〜2歳 | 4.0mg | 4.0mg |
3〜5歳 | 5.0mg | 5.0mg |
6〜7歳 | 6.0mg | 6.0mg |
8〜9歳 | 7.5mg | 8.0mg |
10〜11歳 | 9.5mg | 9.0mg |
12〜14歳 | 9.0mg | 8.0mg |
15〜17歳 | 9.0mg | 6.5mg |
参考:独立行政法人国民生活センター「海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症」
「うちの子はあまり食べないけれど大丈夫かな」と感じるときは、好きなメニューに鉄を含む食材を少量混ぜる方法が取り入れやすいです。
離乳期から意識して取り入れる
赤ちゃんの離乳期は、鉄分を意識して取り入れたい時期です。離乳期は母乳やミルクだけでは鉄が不足しやすくなるため、赤身の肉や魚、ほうれん草など鉄を含む食材を離乳食に加えることがすすめられています。
食材はやわらかく調理し、月齢に合わせた形状にして与えてください。少しずつ種類を増やしていくと、鉄の摂取源が広がります。
離乳食を用意するときは、いくつか注意したい点があります。
- はちみつは1歳未満の子どもには与えない
- レバーは中心部まで十分に加熱する
- 生のままの肉や魚は与えない
はちみつは乳児ボツリヌス症の原因になるおそれがあるため、1歳未満の子どもには使わないでください。レバーを使うときは中心部までしっかり火を通し、生食は避けてください。
鉄分を多く含む食べ物を知っておこう!

鉄には動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の2種類があり、吸収率が異なります。ここでは、ヘム鉄・非ヘム鉄を含む食品と、1日の推奨量を確認します。
ヘム鉄|肉・魚の赤身やレバー
ヘム鉄は、肉や魚の赤身、レバーなどの動物性食品に多く含まれます。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよく、吸収率は約50%とされています(非ヘム鉄は約15%)。
代表的なヘム鉄食品の鉄含有量は、次の表のとおりです。
食品名 | 1食あたりの 目安量 | 鉄含有量 |
あさり(缶詰水煮) | 40g | 12.0mg |
豚レバー | 40g | 5.2mg |
しじみ | 50g | 4.2mg |
鶏レバー | 40g | 3.6mg |
牛肉(もも) | 80g | 2.2mg |
牛レバー | 40g | 1.6mg |
かつお | 80g | 1.5mg |
レバーを使うときは、中心部まで十分に加熱し、生食は避けてください。あさりやしじみの缶詰は、開封後は早めに使い切ると安心です。
非ヘム鉄|小松菜・大豆製品・海藻
非ヘム鉄は、小松菜やほうれん草などの野菜、大豆製品、海藻といった植物性食品に含まれます。ヘム鉄に比べて吸収率は低めですが、日常的に取り入れやすいのが特徴です。
代表的な非ヘム鉄食品の鉄含有量は、次の表のとおりです。
食品名 | 1食あたりの目安量 | 鉄含有量 |
小松菜(ゆで) | 80g | 1.7mg |
ほうれん草(ゆで) | 80g | 0.7mg |
大豆製品や海藻も、非ヘム鉄の供給源として知られています。「レバーが苦手」「魚をあまり食べない」という家庭でも、小松菜や大豆製品なら取り入れやすいです。
ヘム鉄と非ヘム鉄を組み合わせて食べると、鉄の摂取源が広がります。動物性と植物性の食材を献立の中で上手に組み合わせてください。
鉄分の吸収を高める食べ方は?

鉄分は、組み合わせる食品によって吸収率が変わります。ここでは、鉄の吸収を高める食べ方と、妨げやすい食べ合わせについて解説します。
ビタミンCと一緒に摂る
鉄の吸収を高めたいときは、ビタミンCと一緒に摂るのが役立ちます。非ヘム鉄はアスコルビン酸(ビタミンCのこと)などの還元物質によって吸収されやすい形に変わるため、ビタミンCを含む食品と組み合わせると吸収が高まるとされているのです。
ビタミンCは、身近な野菜や果物に多く含まれています。
- ピーマン
- ブロッコリー
- キウイ
- いちご
野菜のおかずに鉄を含む食材を加えたり、食後に果物を添えたりすると、無理なくビタミンCを補えます。毎日の献立で少し意識するだけでも取り入れられます。
たんぱく質と組み合わせる
動物性たんぱく質と一緒に摂ることも、鉄の吸収を助けます。肉や魚などに含まれる動物性たんぱく質は、鉄を吸収しやすくする働きがあるとされているためです。
赤身の肉や魚はヘム鉄を含み、それ自体が吸収のよい鉄の供給源になります。植物性の食材と動物性のたんぱく質を組み合わせると、鉄の摂取と吸収の両面で役立ちます。
吸収を妨げる食べ合わせに気をつける
鉄の吸収を妨げやすい成分もあります。とくに非ヘム鉄は、いくつかの成分の影響を受けやすいとされています。
- フィチン酸(全粒穀物などに含まれる成分)
- ポリフェノール(茶やコーヒーに含まれる成分)
- 繊維質の多い食品
- 茶
お茶やコーヒーは、食事から少し時間を空けて飲むだけでも、鉄の吸収への影響を抑えやすくなります。食事中の飲み物を水や麦茶にするのもひとつの方法です。
ただし、これらの成分があっても鉄の吸収が完全にゼロになるわけではありません。食事全体のバランスを保つことを基本に考えてください。
鉄不足が気になるときの対処と受診の目安

鉄分の効果が実感できるまでの期間は個人差があり、一概には言えません。ここでは、鉄欠乏で現れやすい症状と、食事で続けるときの考え方、受診の目安を解説します。
鉄欠乏で現れやすい症状を知っておく
鉄が不足すると、体にさまざまな症状が現れることがあります。鉄欠乏で現れやすい症状を知っておくと、早めに気づく手がかりになります。
主な症状を以下にまとめました。
- 頭痛やめまい
- 動悸や息切れ
- スプーン状爪(爪が反り返る状態)
- 異食症(氷など食べ物以外を食べたくなる症状)
- 舌炎や嚥下障害(飲み込みにくさ)
疲れやすさやめまいを年齢のせいと思い込まず、鉄不足の可能性も頭に入れておいてください。自覚症状がなくても、血液検査で鉄欠乏が見つかることもあります。
鉄を含む食品を継続して取り入れる
鉄分は、毎日の食事で継続して摂ることが基本です。鉄は体内で再利用される栄養素であり、食事から続けて摂ることで体内の鉄の状態が徐々に整っていくと考えられています。
一度にまとめて摂るよりも、日々の献立で少しずつ取り入れる方が続けやすい方法です。貯蔵鉄(体内に蓄えられている鉄)が回復するには一定の期間がかかると言われています。
すぐに変化を感じられなくても、鉄を含む食材を食卓に取り入れる習慣を続けてください。ヘム鉄と非ヘム鉄をバランスよく組み合わせると、鉄の摂取源が広がります。
気になる症状が続くときは医療機関に相談する
食事を意識しても気になる症状が続く場合は、医療機関に相談してください。鉄の不足が心配なときは、推奨量以上の鉄を含むサプリメントで自己対処するのではなく、まず医師に相談することが大切です。
血液検査を受ければ、鉄の状態を客観的に確認できます。症状の原因が鉄不足かどうかも含めて、専門家の判断を仰げます。
なお、鉄剤やサプリメントは子どもの手の届かない場所に保管してください。誤飲を防ぐためにも、保管場所には十分に注意が必要です。
鉄分に関するよくある質問

本編で触れきれなかった鉄分の疑問について、過剰摂取やサプリメント、子どもの誤飲などの周辺トピックをまとめました。気になる項目から確認してください。
鉄分は摂りすぎるとどうなる?
通常の食事だけで鉄を摂りすぎることは、ほとんどありません。一方で、健常者であっても長期にわたる鉄サプリメントの利用や食事からの過剰な鉄摂取が、臓器への鉄蓄積を介して健康障害を起こす可能性は否定できないとされています。
サプリメントの長期・大量使用は避け、用量を守ることが大切です。気になる症状がある場合は、自己判断で量を増やさず医療機関に相談してください。
コーヒーやお茶は鉄分の吸収に影響する?
コーヒーやお茶に含まれるポリフェノールは、非ヘム鉄の吸収を妨げることがあります。フィチン酸やポリフェノール、茶などは非ヘム鉄の吸収を阻害するとされているためです。
ただし、完全に吸収がなくなるわけではありません。食後は少し時間を空けてから飲む、食事中は水や麦茶にするなどの工夫で、影響を抑えやすくなります。
子どもがサプリメントを誤飲したらどうする?
幼児が鉄剤やサプリメントを誤飲すると、急性鉄中毒を起こすことがあり、重度の臓器障害や死を招くおそれがあるとされています。誤飲した場合は、すぐに医療機関を受診するか、中毒110番に連絡してください。
判断に迷うときも自己判断で様子を見ず、専門機関に相談することが大切です。日ごろから、鉄剤やサプリメントは子どもの手の届かない場所に保管してください。
ダイエット中に鉄分を意識したほうがよい?
ダイエット中は、鉄分を意識して摂ることが大切です。食事量を減らすと、鉄を含む食品の摂取も一緒に減りやすいためです。とくに動物性食品を控える食事では、鉄の摂取源が限られやすくなります。
低カロリーでも鉄を含む小松菜や大豆製品などを取り入れると、食事量を抑えながら鉄を補えます。極端に食事を減らすのではなく、栄養バランスを保つことを心がけてください。
冷凍の肉や魚でも鉄分は変わらない?
冷凍した肉や魚でも、鉄などのミネラルの含有量は大きく変わらないと一般的に言われています。冷凍保存は食材を使い切りやすく、鉄を含む食材を日常的に取り入れやすい方法です。
まとめて買った赤身の肉や魚を小分けにして冷凍しておけば、必要な分だけ調理に使えます。解凍後は十分に加熱し、早めに使い切ってください。
まとめ
鉄分は、全身に酸素を届けエネルギー産生を支えるミネラルです。女性・男性・子どものすべてに関わる栄養素であり、毎日の食事で意識して摂ることが大切になります。
- 鉄分は酸素運搬とエネルギー産生を支える
- 女性・男性・子どもそれぞれに意識したい理由がある
- ヘム鉄と非ヘム鉄をバランスよく取り入れる
鉄分は、一度にまとめて摂るのではなく、毎日の食事で継続的に取り入れることが基本です。
ロピアの精肉売場では赤身の肉やレバー、青果売場では小松菜やほうれん草など、鉄分を含む食材を数多くご用意しています。鉄分を含む食材を毎日の献立に取り入れたいときは、ぜひロピアの売場をご活用ください。
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